“怒ったリーアム・ニーソンが悪党どもをブチのめす!”という一連の映画に連なる作品だが、今度はちょっと勝手が違う。ニーソンが暴れまわる原動力は、大抵が家族を守るため、とりわけ娘や息子のためというのが定番だったが、今回のリーアム(70歳目前!)を突き動かすのは、恋愛なのだ。
爆弾を自在に操るスゴ腕の強盗だったニーソンが、運命的な恋に落ちてカタギになろうと決意。ところが悪徳捜査官がニーソンが溜め込んだ金を横領しようとしたせいで、カタギになるプランが崩れ始める。もちろんニーソンは反撃に転じるのだが、有り体にいってものすごく話のスケールが小さい。
しかし、こぢんまりとした小市民感こそが、本作をほかのリーアム映画とは別物にしている。それぞれの動機や企てがちっちゃいからこそ、リーアムにも敵にも親近感を覚えてしまう、とてもパーソナルな身近さが生まれている。近所の隣人たちを眺めるような気持ちで観られる、風変わりで愛らしい犯罪アクションである。