「中世が好きなのは無秩序だからだ」。かつてそう語ったリドリー・スコットが、再び中世に挑戦した。それも、自らの長編デビュー作『デュエリスト 決闘者』と同じ決闘をテーマにしたドラマで。
これだけでファンは嬉しくなるが、こちらは実話の映画化。『デュエリスト』の泰西名画のような美しさや決闘を巡るおかしみなどは皆無で、どんどんと陰惨な方向に突っ走っていく。
面白いのは当時の生活が緻密に描かれてるところ。その一部が当時の女性に対する価値観で、その家畜同然の扱いには驚くしかない。この辺をちゃんと描いているのも実話がベースになっているからこそだろう。スコット自身も楽しんで作ったんじゃないかと思う。
もちろん、“最後の決闘”シーンは手に汗握る大迫力。そのあとに続く敗者の扱いも、今では考えられない“無秩序”っぷり。つまり、驚きがたくさん詰まった映画ということだ。