ジョン・コルトレーン チェイシング・トレーン
『ジョン・コルトレーン チェイシング・トレーン』 (C)MMXVII MorlingManor Music Corp. and JowcolMusic, LLC. Photo by Francis Wolf (C)Mosaic Images &3 (C)Don-Schlitten
ジャズの巨人、コルトレーンの生涯を描くドキュメンタリー。当然のことながら、全篇にわたり、コルトレーンの音楽が流れる。
残された音源、映像、写真と、家族や共演者など関係者へのインタビューを素材にして構成される、オーソドックスな作り方。
コルトレーンが「宗教」に深い関心を持っていたなど、意外な側面も明らかにする。そして、1960年代にあってもなお、黒人が弾圧され阻害されていたアメリカの現実と、そのなかでコルトレーンが何を考え、何を音楽で訴えたかったかも、きちんと解説される。
熱心なファンであれば知っていることばかりだろうが、よく知らない人には、コルトレーン入門に最適だ。ものごとを知るには本もいいが、音が出て、映像として観ることのできる映画のほうが、ミュージシャンを描くのには適している。
マイルス・デイヴィスとの関係など、もう少し知りたかったが、それはないものねだりというもの。
最後のツアーは日本で、その一年後に亡くなる。当時、日本で迎えた側の関係者や、世界有数のコルトレーンのコレクターの日本人なども登場する。
多くの人がコルトレーンについて語っているが、意外なのが、元アメリカ大統領のビル・クリントン。政治家お得意の美辞麗句の挨拶どころではない、まっとうなコルトレーン論を展開していた。