コーダ あいのうた

コーダとはろう者の親を持つ聴者のことである。漁をして生計を立てているろう者の父と兄、そして母と暮らす高校生のルビー。合唱部に入部したことからその類まれな歌唱力を見出され、先生に音楽大学入学を薦められる。だが家族の通訳となることが欠かせないルビーはその決心がつかず……。 フランス映画『エール』のリメイクだが、米の女性監督シアン・ヘダーによって、新たな魂を吹き込まれた。まずエミリア・ジョーンズの歌唱力とジョニ・ミッチェルなどの楽曲の素晴らしさ。演出もより、ルビーの歌が素晴らしいのが家族とともに過ごしたかけがえのない時間のおかげであることが強調されている。何よりも、画と音の芸術である映画において、観客もろう者と聴者の垣根を壊すような仕掛けにより、新しい経験をすることができる。泣けて感動するだけでなく、生きていくうえでヒントとなるようなものを貰える映画であろう。