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政治からアイドルまで…切り口が独創的

中川 右介

作家、編集者

白い牛のバラッド

イランの映画。イランについては戦争とか政治のニュースで知るくらいだった。しかし当然のことながら、そこには普通の人びとが暮らしている。これは、そういう普通の人びとが主人公で、その「普通の日常」が壊れたところから始まる。 主人公の女性は工場で働いているが、夫が殺人罪で死刑となり、その後で冤罪だったと分かるという境遇に置かれている。さらに小学生の娘は耳が不自由で会話もできない。夫の父や弟が、娘の親権を求めてくる。女性の立場は弱い。シングルマザーだと部屋を借りることも難しい。 死刑を含めたイランの裁判制度への批判が根底にあり、そのせいなのか、イラン国内では上映できていないという。 死刑になるのも、それが冤罪だったのも、全て神が決めたことなのだから、諦めろ──というのが裁判所側の言い分だ。 真相が明らかになり、彼女はある決断をして実行する。それを誰が責めることはできますか?という問いかけで、終わる。 日本も、女性の立場が弱く、死刑制度がある。この映画は「遅れた国の話」ではなく、「日本と同じような国の話」だった。

22/2/18(金)

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