ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~
『ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~』 (C)2022「ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~」製作委員会
単館公開としては異例のロングランヒットとなった前作『ぼけますから、よろしくお願いします。』の続編というべき作品。信友直子監督は、アルツハイマー認知症を発症した母親と、95歳にして人生で初めて家事を覚え、妻を支える父親の姿を追う。母親の症状が進むにつれて、当然、父親の負担は増すのだが、東京で働く娘に父親は「わしが元気で動ける間は、心配して帰らんでもええ。あんたはあんたの道を進んだ方がええわい」と言い、外出時には手押し車が欠かせない身体で、毎日1時間かけて病院に行き、母を励まし続ける。個人的には僭越ながら"お父さん大賞"を進呈したいほど、カッコイイ。老老介護のリアルな現実を描きながら、映画全体から爽やかな印象を受けるのは、家族の暖かさが、きちんと描かれているからだろう。コロナ禍の中で面会すらままならない状況で決して諦めず奮闘するお父さんには敬服するしかない。昨秋、101歳になられたという、お父さん、いつまでもお元気で。