2007年以来今回で5回目のシーズンを迎えるジョナサン・ミラー演出の舞台。新国立劇場のレパートリーの中でも最高の人気を誇るプロダクション。それは第1次大戦前夜に時代設定され、美しさの中に時の移ろいと儚さを見事に描く夢の世界だ。今、この演出で見る価値は実に大きいと思う。
元帥夫人に欧州のディーヴァ代表アンネッテ・ダッシュ、オクタヴィアンに小林由佳、ゾフィーは安田陽子、オックス男爵が妻屋秀和と国内トップ歌手の面々もそろい、指揮はウィーン生まれで国立歌劇場の奏者出身のS・ゲッツェルとくれば、このオペラ本来の香りが濃厚に満ちた内容が大いに期待できる。
エンディングの3重唱に陶然となる幸せを心から味わおう。