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水先案内人のおすすめ

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政治からアイドルまで…切り口が独創的

中川 右介

作家、編集者

バブル

コミックや小説の原作のない、オリジナルアニメ。 謎のバブル(泡)が降ってきて、重力に変化が起き、さらに東京が半分水没しているという設定。水没した東京といえば、どうしても『天気の子』を思い出してしまうが、すぐに、まったく違う世界観だと分かる。 ストーリー、キャラクターの造形、背景美術の美しさ、躍動する動き、音楽がストーリーに有機的にからむ点など、申し分のないアニメ映画だ。 鉄腕アトムの昔から、アニメの多くで主人公たちは「飛ぶ」が、この映画では、「跳ぶ」。とにかく、「跳ぶ」のだ。 半分水没している東京の描写は廃墟好きにはたまらない、滅びの美しさがある。とくに倒れかかっている東京タワーが美しい。スカイツリーに高さでは負けたとしても、フォトジェニックでは、東京タワーの勝ちだ。 その汚れていても美しい背景を舞台にして、主人公の少年たちは跳ぶ。その動きとアングルが、見事。「飛ぶ」シーンだと水平方向への移動だが、このアニメでは「跳ぶ」ので画面は上へ下へ右へ左へ斜め上へと、動き回る。 人魚姫の伝説をモチーフにしたストーリーは、甘く切なく美しい。 劇場公開の前にNetflixで公開されるので、それで観たとしても、映画館の大スクリーンでこの世界に浸ってほしい。

22/5/11(水)

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