日本を代表する財閥のひとつが形成してきた「住友コレクション」を展観できる場といえば、京都と東京にある泉屋博古館。東京の側はこの春リニューアルオープンと相成り、日本画の名品を一堂に展示した記念展が開催中だ。
大阪、京都、東京の三都で活躍した画家の作品を、緩やかに対比させたキュレーションは見どころのひとつ。そう思って眺めれば、大阪京都の作品のほうがより伝統と生活に根ざしており、東京は「文明開花」の影響を強く受けて開明的な気がしてくる。
中でも京都の画家・木島櫻谷の《柳桜図》は華やかそのもの。室内で永遠に散らぬ桜が咲き誇っているかのようで、日本美の深奥を思う存分堪能できる。