Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!

演劇鑑賞年300本の目利き

大島 幸久

演劇ジャーナリスト

歌舞伎座 團菊祭五月大歌舞伎

平成31年(2019)以来の團菊祭である。コロナ禍によって開催できなかった恒例の公演がやっと戻ってくる。 未だ、歌舞伎座は3部制を継続しているが、今年の團菊祭は楽しみが多く詰まっている。その中で筆頭は第2部だろう。一つが歌舞伎十八番の内『暫』。二つ目が新古演劇十種の内『土蜘』。ともに歌舞伎の古典美、古風で現実離れした世界を現出させる演目である。 『暫』の主人公・鎌倉権五郎が市川海老蔵。昨年の東京オリンピック開会式、7月23日の夜。ピアニスト上原ひろみとのコラボで演じた場面は驚きの極みだった、と思う。市川宗家の芸、十八番の中でも一、二を争う代表的狂言、そして勧善懲悪の祝祭劇。いよいよ十三代目市川團十郎襲名が近い、とウワサされている海老蔵である。10か月ぶりの歌舞伎座の舞台は本来なら「待ってました!」「成田屋!」と声を掛けたいくらいだ。 『土蜘』の主人公である土蜘の精が菊之助。2019年6月の博多座での開場20周年記念以来3年ぶりの大役だ。 そして第1部が『金閣寺』と『あやめ浴衣』。尾上松緑の松永大膳の『金閣寺』は2018年以来4年10か月ぶり。片岡愛之助の此下東吉、中村雀右衛門の雪姫、さらに中村福助が慶寿院尼で顔を見せるのが何よりの喜びだ。 第3部は『市原野のだんまり』と『弁天娘女男白浪』。後者で弁天小僧菊之助に扮するのが尾上右近。自身の勉強会「研の会」で初演した時は悪戦苦闘しながら、華のある姿ではあった。歌舞伎座の大舞台での再挑戦はいかに。菊五郎が『土蜘』で源頼光を演じる。團十郎家、菊五郎家が揃う團菊祭。期待は増す一方だ。

22/4/21(木)

アプリで読む