かつて映画誕生百年の際、大手新聞社が20世紀の記録のひとつとして映画を特集した本の編集に携わったことがある。その時、表紙を誰にするかで大いに盛り上がったが、筆者より上の世代が占める編集委員たちはこぞってオードリー・ヘプバーンを挙げた。それほど彼女はスター中のスターだった。そんなオードリー・ヘプバーンの生涯を描いたドキュメンタリーだ。出生から戦争中の出来事、バレエ・ダンサーの夢、そして映画出演と『ローマの休日』への抜擢などを追う一方、父親の失踪、メル・ファーラーとの結婚と離婚など私生活が描かれる。一人称の語りや解説ナレーションをかぶせながら、プライヴェート映像を含むアーカイブ映像を駆使して構成。まるごとオードリーの人物像と人生が知れて興味深い。