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高松 啓二
イラストレーター
オフィサー・アンド・スパイ
22/6/3(金)
TOHOシネマズ シャンテ
『パピヨン』で悪魔島に送られたスティーブ・マックィーン扮するパピヨンは、石の上に座るとすると老人から「そこはドレフュス大尉の椅子じゃ!」と怒られる。本作はそのドレフュス事件を描く。1894年フランス軍ドレフュス大尉は、スパイ容疑をかけられ有罪となり、悪魔島で刑に服する。ピカール中佐は、彼がユダヤ人であることと証拠の少なさから疑問を持ち、真相を探るのであった。ピカールが指揮する情報部は、手紙を蒸気で開封、電話の盗聴、尾行、監視などアナログだが今と変わらないのが面白い。当時、ユダヤ人への偏見が激しく、あっという間に容疑者にされてしまう。また、軍はミスを隠すため、改ざん、隠蔽と真犯人が判明しても冤罪を作り上げるのが怖い。それでも妨害されても真相が明らかにされるのは正義をあきらめない者がいるからだ。監督のロマン・ポランスキー自身も容疑者なので思うところがあるのかも?『パピヨン』でのドレフュスのエピソードにも合点がいった。
22/5/12(木)