三姉妹

『オアシス』の大女優ムン・ソリが次女を演じ、共同プロデューサーにもなっている本作。 何より主人公である長女を演じた名女優キム・ソニョンがただただ素晴らしい！ キム・ソニョンといえば助演が多く、『愛の不時着』『マルモイ ことばあつめ』他、どの作品でも印象的な演技で定評があるが、今回、主演を務めた理由のひとつに、彼女の夫、イ・スンウォン監督によるオリジナル作品というのもあるだろう。 生き方もファッションも全く違う三人姉妹が誰にも言えずに抱えている問題が、徐々に繋がっていき、やがて一本の幹となる物語は、辛さを表に出すわけでもなく、自分たちでなんとか処理をしようとする孤独さも描いている。それでも彼女たちの過去が明らかになっていくと目に見えない絆まで感じてしまう演出に脱帽。 今の問題を乗り越えるためには、過去のトラウマと向き合う必要があるというメッセージが根底にあるからか、重いテーマながら不思議と浄化作用がある作品になっている。韓国の主要映画賞10冠というのも納得の演技力と脚本力と演出の力が揃った傑作だ。