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水先案内人のおすすめ

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映画から自分の心を探る学びを

伊藤 さとり

映画パーソナリティ(評論・心理カウンセラー)

リコリス・ピザ

『マグノリア』『ザ・マスター』など、フィリップ・シーモア・ホフマンとも名作を生み出してきたポール・トーマス・アンダーソンが、亡き旧友の息子クーパー・ホフマンとアラナ・ハイムという二人の若者をスクリーンデビューさせ、アカデミー賞作品賞、監督賞、脚本賞にノミネートされた本作。とにかくこの二人がチャーミングであり、勢いある若さが痛愛おしく、目が離せない。 70年代のハリウッドで子役の仕事もしていた高校生ゲイリーと、彼が一目惚れした年上のアラナとの“何者かになるため”への道を描いた青春グラフィティだ。 昔も今も「承認欲求」を得るために生きている人間。ただし今と違うのは、ネットの無い70年代で何かを生み出すには、口の上手さと行動力、そして人脈で仕事を得る時代。若い二人が夢を叶えるには大人たちの出会いも必要であり、ベテラン俳優役にショーン・ペン、映画監督役にトム・ウェイツ、映画プロデューサー役にブラッドリー・クーパーとポール・トーマス・アンダーソンだからこそ集められた豪華な顔合わせ。 しかも音楽を担当するのは監督作品の常連であり、『パワー・オブ・ザ・ドッグ』『スペンサー ダイアナの決意』も担当したレディオヘッドのジョニー・グリーンウッド。あの頃を音楽で映し出す見事なスコアと、ドアーズの「ピース・フロッグ」や、デヴィッド・ボウイの「火星の生活」他、ビンテージが映画のセンスを良くしている。 音楽や映画、ファッションなど、70年代のポップカルチャーが詰まった人間賛歌を堪能して欲しい。

22/6/26(日)

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