世界を震撼させた『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』あたりからモキュメンタリーホラーが随分と製作された。それ以降、『パラノーマル・アクティビティ』など、監視カメラアングル、インタビュー形式、そして韓国映画『コンジアム』のようにYouTube生配信のアングルなど勢いは止まることを知らない。
そんな中、國村隼出演でも話題となった韓国ホラー『哭声／コクソン』のナ・ホンジンが、劇中に登場したファン・ジョンミン演じる祈祷師の物語を思いつき、『心霊写真』の共同監督を務めたタイのバンジョン・ピサンタナクーンによって、タイの祈祷師一族のモキュメンタリーとして映画化。
タイの小さな村で代々女系に受け継がれている祈祷師一族に密着取材するかのようなインタビュー形式で物語は進み、現祈祷師であるニムから一族の唯一の後継者になり得るミンの異変をカメラは捉えていく。
役者たちの本物と見間違うような演技力と圧巻のポルターガイスト現象、それを取材と称し手持ちカメラや隠しカメラでドキュメンタリーのように見せていく構成は、怖いもの見たさのファン心理を知り尽くした仕掛けとしか思えない。
しかもジワジワと迫りくる見えない敵を憑依と超常現象という形で、観客に想像させる監督の脚本と演出に脱帽。オカルト映画『エクソシスト』よりも身近に感じる悪魔の存在は、間違いなくタイの風土や習慣から生み出されたものだろう。
