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魂のまなざし

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50代になってから19歳年下の若い男と新たな恋を。しかも2度にわたる手痛い失恋を経験しながら、なおも立ち直ろうとする自立した精神の持ち主。フィンランドの国民的画家ヘレン・シャルフベックの人生と画業を描いたアンティ・ヨキネン監督による伝記映画です。 ヘレン・シャルフベックは、ロシア帝国の支配下にあったフィンランドで1862年に生まれます。祖国の独立は1917年のロシア革命まで待たねばなりませんが、封建的な旧体制がガラガラと崩れ落ちていくのとペースを合わせるように自身を凝視し思う通りに行動します。「女の物は男の物」と言われた時代。売れた絵の手数料を兄が当然のように受け取ろうとし彼女が断ると、「世間体が悪い」という兄に母親は同調します。 圧巻なのは代表作の自画像。年輪を刻むごとに誇張は消えて、逆に人の醜い部分までストレートに描く手法を目指します。この自画像の変転を追うことで彼女の心の揺れが見事に浮かび上がるのです。恋愛映画としての見方もできますが、彼女を長年にわたり精神的に支えた友人ヘレナ・ヴェスター・マルクとの友情も指摘しておきたいと思います。 ちなみにヘレンとは別人の女性と婚約しヘレンを裏切った形のエイナル・ロイターですが、その後も彼とは友人としての関係を続け1100通を超える手紙を交わすことになります。その資料があるからこそ彼女の再評価が進んだといいますから、人生分からないものです。