『サーフィン・U.S.A.』『グッド・ヴァイブレーション』『神のみぞ知る』など数え切れないほどのヒット曲を放ち、ロック史上に輝く『ペット・サウンズ』『スマイル』等の名盤を残しているビーチ・ボーイズの創設メンバー、ブライアン・ウィルソンは”稀代の天才”と言われながら、同時に数々の謎と伝説に包まれている。それを見事に解き明かしてくる映画が『ブライアン・ウィルソン 約束の旅路』。今までたくさんの音楽ドキュメンタリーが作られているが、ブライアンが唯一心を許している友人で元「ローリング・ストーン」誌の編集者ジェイソン・ファインと想い出の地をたどるドライヴを続けながら収録された会話と貴重なアーカイブ映像の見事な融合は天才の”孤独”と”音楽を作る喜び”を伝えてくれる。エルトン・ジョンやブルース・スプリングスティーン。ドン・ウォズなど多くの著名人がブライアンの凄さ、ビーチ・ボーイズへの愛を語っているのも最高。スタジオを楽器として使った最初のアーティストであり、『グッド・ヴァイブレーション』の録音には1曲だけのために4つのスタジオが使われたとか、驚きのエピソードも次から次へと飛び出す93分。これは絶対に夏の間に観ておきたい1本だ。