フランスの監督・俳優マチュー・アマルリックの新作なんですが、実はこの作品、あらすじすら言えない……。というのも、観る前に明かされているのは“家出した女性の物語”ってことだけなんです。でも、実際この作品を観てみるとそれだけナイショごとが多い理由が分かるし、詳しいことは知らないで観た方がいいと思います。
私から言えるのは、主人公のクラリスが「こうだったら……、こうしていれば……」という“タラレバ”を描いた映画ということかな。物語の構成もとても独特で、いろいろなエピソードが時間軸を前後させながら展開する。だから、ちょっとだけ分かりにくいかもしれないけど、それだけ考えさせられる作品でもあります。
あとね、クラリスを演じたヴィッキー・クリープスがすごくいいの。私、彼女の顔がすごく好きで(笑)。過去にはポール・トーマス・アンダーソン監督の『ファントム・スレッド』や、M・ナイト・シャマラン監督の『オールド』などに出演していたんだけど、そのときからずっと注目していた俳優さんです。この作品でもすごい存在感を示してくれてます。