アメリカ南部のスポーツバーで繰り広げられる女性たちの奮闘と友情のストーリー。この店のマネージャー役を演じるレジーナ・ホールが素晴らしい。
スポーツバーでホットパンツを履かされた女たちが、女性蔑視で人種差別意識の強い店のオーナーに振り回されたり、客にセクハラされたりと、とにかく次から次へとトラブルが発生するのだが、それを彼女は見事にこなしていく…。さらにプライベートな面でのトラブルもあって、気の休まるひまもない。展開があまりにリアルなので、なんだかドキュメンタリーを見ているような錯覚に陥った。監督のアンドリュー・ブジャルスキーは、アメリカのきわめて低予算で作られるインディペンデント映画の潮流のひとつ、「マンブルコア」の創始者と言われている人で、「mumble」とは「不明瞭にもぐもぐ言う」という意味。だから、リアルなんだと後で調べて納得したが、グレタ・ガーウィグなどもこの「マンブルコア」の中から出てきた人だということでさらに納得。リアルリアル。説明セリフが少なくて、なかなか状況がわかってくるまでに時間がかかるのだが、逆にそれがとてもよくできていて引きこまれる。監督の力量を感じた。まだまだ(特に南部などでは)こういうことが起きているんだなと感じると同時に、彼女たちの「パワー」にも心を打たれた。とてもお薦めです。