こういうお金持ちしか知らないようなレストランって、本当にあるんですよ。それもこの映画のように孤島に。こういうところスウェーデンにもあるんです(笑)。だからこそ、リアルに怖い。だって逃げ場ないですからね。一度、そのレストランのために波止場に着いたら、お会計して出るまで船が来ませんから。
なにせ怖いのは、こういうところに来る人たちの欺瞞と虚栄です。たとえば、あるお客さんは「（こんなに予約がとれないところなのに）11回も来ている」という自慢をします。でも、その11回来ていてなにが一番素晴らしい料理だったかは言えない。料理が目的ではなく、選ばれたことによるステイタスしか興味ないんですね。
これは料理人にはつらいはずなんですよ。お料理の味、プレゼンテーション、サービス、ロケーションなどなど、すべてをちゃんと楽しむことが外食の楽しみだっていうのに。外食・お酒好きの私からすると、全くありえない！
また、レストランの中での出来事だけのように聞こえるかもしれませんが、登場人物の過去などをめぐるエピソードが盛り込まれるので、密室サスペンスなのに広がりがある物語なのもいい。お客さんだけでなく、厨房の人たち、サービス担当などなど、レストランにいる人たちすべての人間模様が描かれています。
