アカデミー賞にはノミネートすらされなかったけれど(過激すぎるから?)、個人的に本作は、2022年を代表する作品として絶対に見逃せない一本だ。ルカ・グァダニーノ監督の攻め方が半端ではない。もちろん、『君の名前で僕を呼んで』以来の、ルカとティモシー・シャラメのコンビという点でも外せないだろう。
アメリカのカントリーサイドを舞台にした、人を喰べずには生きていけない少女(テイラー・ラッセル)と青年の逃避行は、『地獄の逃避行』プラス『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』といったところ。
ホラー度をマックスに押し上げるマーク・ライランスの怪演ぶりや、かなりえぐい映像を含みながらも、ロマンティシズムとせつなさに溢れ、ラストのシャラメの言葉は、究極の純愛名台詞と言って過言ではない。アコースティック・ギターによるトレント・レズナーとアッティカス・ロスの音楽も、孤独感を倍増させる。