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赦し

映画

ニュース

7年前、娘をクラスメイトに殺された元夫婦と、当時17歳だった加害者の女性。癒すことができない3人の葛藤に目を据えながら救済と赦しという奥深いテーマに挑んだアンシュル・チョウハン監督による渾身の作品です。 映画は17歳の夏奈がいじめに耐えかねてリーダーの女生徒を刃物で刺し殺し、殺人罪として懲役20年の刑に服役。その7年後に、初犯の未成年に情状酌量もなく懲役20年は長すぎると加害者側の弁護士が事実認定不当の再審請求をしたところから物語は始まります。 インド出身で長編3本目のチョウハン監督が早くも重いテーマに挑むことにも注目したいところですが、法廷というカメラワークの難しい場所が舞台の法廷劇では、裁判官、弁護士、検察官、証人のやりとりが入り乱れ濃縮された形でスリリングに展開され、かえって臨場感あふれる演出となっています。同時に最初の裁判では取り上げられなかった夏奈の犯行に至るショッキングな動機が明らかにされ、映像から目が離せなくなります。 見た目は法廷劇ですが、今なおイジメに遭う夢に苦しむ夏奈、殺人者は刑務所で罪を償うべきだという“正義”に固執する被害者の父親、克、そして事件後に離婚した元妻で早く裁判を終わらせたい一心の澄子の3人は裁判の進行に合わせるように心を揺らがせる心理ドラマでもあります。 葛藤する3人の主役だけでなく、有能ではあってもうさん臭さもにじませる弁護士、そして的確に審理を進める裁判官までキャスティングの妙も作品のグレードを上げています。監督の次回作が早くも見たくなる出来栄えでした。