コンピューターのソフトウエアの世界は日進月歩。今や、ライフラインの一部となったが、Winny事件は同時代に生きる人なら、一度は耳にしているはず。ネットワークにアクセスできれば、ファイルやデータを簡単に共有できるソフトを巡って、その開発者が逮捕された事件だ。
本作は、その開発者・金子勇さん(故人)と、不当逮捕に立ち向かった弁護団の物語。Winny事件は歴史の転換点で、教科書に載るレベルの重大事件だろう。それを劇映画として分かりやすく、残してくれたのがまず貴重だ。
しかも、法廷サスペンスとして魅力的。冤罪はいかにして生まれるのか、権力はいかに腐敗するのか、それに立ち向かう手立ては何か。
浮世離れした夢追い人の金子さん役は東出昌大。プライベートで何かとお騒がせだが、役は合っているように見えた。それは東出個人が金子さんと共通するものがあるのかもしれない。事件を知らない人も興味深く見られる。