何気なく観た映画が良作だと得した気分になる。本作はそんな気持ちにさせてくれた。タクシー運転手のシャルルは人生に行き詰まっていた。そんな時、92歳のマダム、マドレーヌを老人ホームに送り届ける仕事を受けるが……。仏頂面のシャルルがマドレーヌの人柄と気品でどんどんと壁がとりはらわれ、親密になっていくのが見所。彼女の想い出がところどころ挟み込まれ、ただ者でない事がわかる。甘いロマンスだけでなく、昨今の女性問題がスパイスとなっている。そして車窓から見えるパリの街並。エッフェル塔、シャンゼリゼ通り、凱旋門など観光名所が美しく彩りを添える。途中下車してカフェや食事したりゆったりとしたテンポが心地良い。予定調和通りだが、それがかえってストレートに響く人情噺になっている。そんなこともあるかも？と思わせるのがパリなんだろうなぁ。トレビアン、パリ！

23/3/21(火)