波紋

女性客の皆さんが喜びそうな作品だ。ストレスを溜めた主婦（筒井真理子）の密かな逆襲を描く。東日本大震災をきっかけに夫（光石研）が失踪。それを機に新興宗教にのめり込む生活を続けていたら、10年以上経って夫ががんになって帰ってきた。哀れみですがってくる夫は嫌だが、宗教の教えでは救ってあげなければいけない……さらに本人に降りかかる様々な葛藤が波紋として描かれていく。そして、最悪の状況からささやかな逆襲が始まるのだ。高見の見物の観客にとってはここでニヤリ。監督は荻上直子。放射能、介護、がん、宗教、障がい者等、様々な社会問題を取り込みながら、登場する女たちは皆、闘っている。「絶望を笑え」。この宣伝コピー、うまい。