待望の是枝裕和監督、日本映画の新作だ。教師(永山瑛太)が息子を虐待していることを知った母(安藤サクラ)は、やる気のない校長(田中裕子)と学校に敢然と立ち向かう。しかし、やはり是枝監督。当事者である子供たちの視点からも物語を描くのだ。同じ空間・時間を過ごしながら、大人と子供は全く違う世界を生きている事実が心にしみる。子供たちの純粋さに胸を打たれてしまう。非常に感心したのは時制を複雑に前後させるギミックで、物語をより深くミステリアスなものに仕上げている点。少しずつ複雑なピースが埋め込まれることによって快感と感銘がラストに訪れるのである。友情と愛情の間で揺れる子供たちの瑞々しい感性に、世界はまたも拍手を送るであろう。