アクション映画の名手であるベテランのマーティン・キャンベル監督と、今やアメリカを代表するアクション俳優になったリーアム・ニーソン。両者の組み合わせが、ハードボイルドのムードを感じる佳作を生み出した。
老いてもなお切れ味をみせるマーティン・キャンベルによる陰影を活かしたメリハリある演出と、こうした憂いある役柄はお手のものといえるリーアム・ニーソンの演技の相性が実によく、抑制の効いたアクション映画に仕上がっている。
彼が演じるのは、凄腕の殺し屋。ある少女のために、メキシコとの国境の町で悪党たちと戦う。
それ自体は珍しくないのだが、今回は認知症の兆候があるという設定が加わっているのがポイント。そのため、諸々のレスポンスが遅れたり、重要なことを忘れてしまったり。そこに“老い”を強めに出した演技も合わさり、いつもの“無敵のリーアム・ニーソン”となりかねないところに危うさがもたらされていく。
彼を追う捜査官にガイ・ピアース、悪役にモニカ・ベルッチと脇も充実。
近年のリーアム・ニーソンの主演作を観て、「いくらなんでも仕事を選んでくれ……」と思っていたのだが、今回は普通に楽しむことができた。