映画は一度スクリーンにかかると、その解釈はそれぞれの観客に委ねられる。とはいえ最近の映画の場合、解釈はひとつかふたつ。三つあれば御の字だろう。そういうシンプルな映画が多いなかで異彩を放ちまくっているのが『TAR/ター』。これほど観る人によって解釈が異なる映画も珍しい。
ケイト・ブランシェット扮するターと音楽とのかかわりを2時間30分以上をかけて描いたのちの着地点。そのラストをどう取るか? 彼女にとっての不幸だと考えるのか。あるいはその状況(これが意表をついていて凄い!)でも幸せだと思うのか? まさに千差万別! 是非とも友だちと一緒に観て、議論を戦わせてほしい。
ちなみに筆者はこのラスト、ハッピーエンドだと思った。それも心が揺さぶられるほどの!