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人気ブロガーが話題の展覧会を深掘り

Tak

美術ブロガー

特別展「恐竜図鑑―失われた世界の想像/創造」

毎年のように日本各地の博物館で催されている『恐竜展』では、世界中のあらゆる地域の地中から掘り出された恐竜の化石や全身骨格模型などが展示され子供だけでなく大人もワクワクさせてくれます。そんないくつになっても夢を抱かせてくれる恐竜の展覧会を上野の博物館でなく美術館で行うの?!と疑問に思われたかもしれません。 今回、上野の森美術館で開催される恐竜展は、これまでありそうでなかったタイプの全く新しいもので、美術館で行うのに相応しい内容となっています。具体的には化石や骨格標本ではなく、「パレオアート」と呼ばれる「恐竜絵画」を世界中から集めた展覧会なのです。 私たち人類が誕生する遥か昔(約2億5000万年~6600万年前)の太古の地球をわが物顔で闊歩していた恐竜たち。恐竜たちが人類によって「発見」された歴史はまだ浅く、最初の恐竜の化石が発掘されたのは19世紀初頭のことです。「恐竜 (dinosaur) 」という呼び名も、1841年にリチャード・オーウェンによって「偉大な化石トカゲ」を指すために造られたものです。しかし化石として骨格は見つかり恐竜という呼称がついても、一体どんな姿かたちをしていたのかは、誰も見たことがなく、想像するしかありません。21世紀の現在でも博物館の『恐竜展』で目にする恐竜の姿はあくまでも想像図です。 しかし、過去200年に渡り描かれてきたパレオアート(恐竜絵画)をあらためて通してみると、古生物美術史ともいえる変遷があることが分かります。19世紀の恐竜発見と間もない時期に描かれたパレオアートの黎明期を飾る貴重な作品から特別展『恐竜図鑑』は始まり、20世紀、21世紀と時代や新たな科学的知見により姿かたちを大きく変えていく描かれた恐竜を辿ります。 また同時に、日本における恐竜受容の歴史も紹介されます。何といってもあの『ゴジラ』を生んだ国です、恐竜絵画が私たちに与えた影響は、思っている以上に大きなものがあることを教えてくれます。近年ではティラノサウルスに鳥のような羽毛が生えていたことが定説となり、想像図も自分が子供の頃目にしていたティラノサウルスとは大きく様変わりしています。そんな懐かしい恐竜たちにも会える大人こそ楽しめる、美術館で開催するに相応しい展覧会です。

23/6/22(木)

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