そもそもがスパイアクションの金字塔的なシリーズではあるが、本作はその中でもさらに金字塔といえる仕上がりになっている。
細かいことはどうでもいい。
トム・クルーズの演じるイーサンが砂漠で、ローマで、ベニスで、そして最後は疾走する汽車で大暴れ。楽しすぎるアクションの連続に浸るだけで、ただただ大満足だった。
とにかく、アクション表現はシリーズ屈指の見事さ。激しさやスピード感や豊富なアイデアはもちろんのこと、ロケーションやシチュエーション選びも完璧。
それに何より素晴らしいのが、アクションの緩急が効いていることだ。イーサンは少しドジな可愛らしさを見せる。そうした三枚目的なユーモアをアクションの折々に織り混ぜることで、近年の大作アクション映画にありがちな「激しさ一辺倒」に陥らなくなり、心地よいリズム感が生まれる。そのため、最後まで一秒たりとも全く飽きがこないで夢中になれたのだ。
そしてなんといっても──今さらながら──トム・クルーズのカッコよさが圧巻だった。
本作は強くたくましい女性たちの活躍が特徴的なのだが、イーサンはそうした女性たちを命がけで助け、守り抜こうとする。トム・クルーズにそんな瞳であんなこと言われたり、ピンチにこんな助けられ方したら、それは敵味方関係なく惚れるしかないわな……と、ついでにこちらまでもうキュンキュンして止まらなくなっていた。
二部作の前編であるにもかかわらず、ラストがバッチリ決まっているのも好感。
人生で最も短く感じた3時間弱……といっても過言ではないほど、大充実の娯楽作品に仕上がっている。