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インスペクション ここで生きる

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ゲイであることが原因で母親に捨てられ、ホームレスだったフレンチは、生きる場所を求めて海兵隊に入隊する。だが過酷な訓練と、壮絶な差別が待ち受けていた……。自らの半生をもとに海兵隊在籍中に記録映画を撮り始め、ニューヨーク大学ティッシュ校大学院で映画を学んだエレガンス・ブラットンが撮り上げた初長編作品。 アメリカの軍隊の訓練の厳しさはこれまでも映画化されてきたが、海兵隊が舞台のLGBTQ映画は初めて観た。軍隊ものは厳しい訓練の結果、隊員たちの友情の絆の強さが描かれるのが常だが、母親との決別と今まで差別してきた仲間がフレンチを庇うこの映画のラストシーンはこの映画の複雑さを表していて素晴らしい。 1992年の大統領選時にビル・クリントンは同性愛者の服務規程禁止を撤廃するという公約を掲げるが、軍の幹部や保守派に反対される。その代わりに連邦法に規定されたのが「DADT:Don’t Ask, Don’t Tell」であった。同性愛者かどうかを「訊くな、言うな」、公にしなければ容認するということである。また、アメリカの軍隊には1万5千人にもトランスジェンダーが所属しているという。就職差別の問題があり、軍隊は性的マイノリティにとって特別な場所なのだ。 フレンチは黒人でもあり、黒人でクィアという二重のマイノリティ性を纏ったフレンチが過酷な状況は生き延びていく様はもちろん『ムーンライト』を想起させる。製作は同じA24。『ムーンライト』と同じく、今まで観たことがないような映画である。