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クラシック業界ご意見番

東条 碩夫

音楽評論家

東京・春・音楽祭2024 東京春祭 ワーグナー・シリーズ vol.15 《トリスタンとイゾルデ》(演奏会形式・字幕付)

新国立劇場の『トリスタン』が舞台装置や演技を伴った舞台上演なのに対し、こちらは演奏会形式上演だが、音楽に対する集中度が高まる点で、それなりの良さがある。なにしろこの『トリスタンとイゾルデ』は、音楽のニュアンスの微細さでは音楽史上最高の作品と言われるほどで、主人公ふたりの満たされぬ愛を表現する半音階手法の官能的な音楽が延々と続き、それが全曲中でただ1回、調性の中に解決されるのが、大詰めでふたりの恋人が死んで結ばれる瞬間だけ、という素晴らしい曲なのである。視覚に惑わされず音楽をじっくりと味わおうと思うなら、こういう演奏会形式上演を聴くのもいいものだ。 この東京・春・音楽祭では、これまで毎年のようにワーグナーの歌劇・楽劇を上演してきたが、この『トリスタン』で、ワーグナーのスタンダード・レパートリー10作の上演が完了することになる。演奏はレギュラー・コンビのマレク・ヤノフスキの指揮と、NHK交響楽団だ。トリスタンにはオーストラリア出身のワーグナー・テノール、スチュアート・スケルトン。イゾルデにはノルウェー出身の名花ビルギッテ・クリステンセン。

24/3/18(月)

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