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水先案内人のおすすめ

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夏目 深雪

著述・編集業

ビニールハウス

『パラサイト 半地下の家族』では韓国で貧困層が住む半地下に注目が集まったが、彼らはまたビニールハウスにも住むのだという。ビニールハウスといっても、中を見るとちゃんと家具もあり、意外と住み心地が良さそうだ。 貧困のためビニールハウスに住む中年女性ムンジョンは、少年院にいる息子と再びともに暮らすことを夢見ながら、盲目の老人テガンとその妻で重度の認知症を患うファオクの訪問介護士として働いている。ある日ファオクが風呂場で突然暴れ出し、床に後頭部を打ちつけ亡くなってしまう。ムンジョンはなんと自分の認知症の母親を身代わりにすることを思いつき……。 ヒロインは貧困層の介護士、もともと救いのない設定がさらに悪化し捩れていくテイストはイ・チャンドンを彷彿とさせる。韓国の女性監督作品は近年瞠目させられることが多いが、やはりイ・チャンドン、ポン・ジュノ、パク・チャヌクら巨匠とは別物だというイメージであった。だが、監督はこれが長編デビュー作だという1994年生まれのイ・ソルヒ。本作はそもそも女性監督作品だというような色眼鏡で見るのがためらわれるほど切実で重厚であり、やっと韓国にもそのような女性監督が誕生したのだと痛感させられた。

24/3/10(日)

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