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キッチンから花束を

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画面いっぱいにどん、と料理が大写しになる。美味しそう! 決して派手ではなく、やさしい色合いの、とびきり洗練されたセンスの、ひと皿。 瞬時に食欲を誘う映画だ。 南青山・骨董通りに面したビルの地下にある、行列の絶えない、創業50年の中華風家庭料理の店「ふーみん」とその創設者、斉風瑞(さいふうみ)さんの3年間を追ったドキュメンタリー。 いまはやりの町中華とも、豪華食材を使った高価な中国料理店ともまるでちがう、ていねいに作られた家庭料理が、お客さんそれぞれの気持ちを察するかのように、なんともいいころあいでテーブルに出される。使う素材も、納豆だったり、干し大根だったり……。それが、“ふーみんマジック”で唯一無二の味に変わる。 なかには、イラストレーターでここの常連だった和田誠さん発案のメニューもある。土地柄、ファッション関係やデザイナーなど、カタカナ職業のお客に愛されて、それでいて気取りのない雰囲気が映像から伝わってくる。 斉さん、いまはふーみんのキッチンには立たれていないが、そのメニューや味はきっちり受け継がれている。厨房も、ホールスタッフも、食品庫担当も、出てくるみなさんの笑顔が印象的。おいしく作って楽しく食べる──、料理って、人が作るものだなあ、とつくづく感じさせられる。