1938年、英国人ニコラス・ウィントンはナチスに迫害されているプラハのユダヤ人子供達のため、英国で里親をつのり699人の子供を国外に逃す活動に関わった。しかし戦後、もっと多くの子供を救えたのではないかと自分を責めていた。本作はBBCのTV番組「ザッツ・ライフ」で放送された実話の映画化。若きニコラスを演じるのはジョニー・フリン。あんまりクセがないだけに彼がこの計画にのめりこむ過程が自然に見える。晩年を名優アンソニー・ホプキンスが演じるとその佇まいだけで説得力が増す。このキャスティングが大戦中の美談以上に高貴なヒューマニズムドラマにまで昇華させている。また、プラハのゲットーでの劣悪な状態の描写は、いつの時代でも見る光景で現在進行形の難民問題にも通じる。実は元となったドキュメンタリーは観たことがあり結末も知っているが、やっぱり涙してしまう。劇中の「見てしまったものを見ないフリは出来ない」というニコラスのセリフは深く考えさせられた。