鉄道ファンには、そして台湾好きの人にとっては、たまらない作品です。
台湾南部を走る「南廻線」。あるときは美しい海の横を、あるときは山の中を、そしてあるときはパイナップル畑の横を走る鉄道は、題名の通りに郷愁を呼びます。
鉄道の建設でとりわけ難工事はトンネルの建設。工事中の落盤事故やダイナマイトの扱いの失敗などで、多くの作業員の死を招きながらも、鉄道は完成しました。町を挙げての大歓迎の中で走り始めた鉄道でした。ディーゼル車や蒸気機関車が走るときの音の快適さにも注力して映画は完成しました。しばし鉄路の音に浸ってください。
しかし、そんな鉄道にも時代の波は押し寄せます。遂に全線が電化されることになったのです。蒸気機関車の出番はなくなりました。それでも鉄道は、人々の思いを乗せて走り続けます。
そこには鉄道で働き続けてきた鉄道員の誇りがありました。この映画を観たら、台湾の南部を訪れたくなるのは必定です。