13歳の少年と36歳の女性の不倫、獄中出産、出所後の結婚。90年代後半、全米を賑わせた実在の”メイ・ディセンバー事件”をベースにして『エデンより彼方に』『キャロル』など、重厚かつセンセーショナルな作品で熱狂的な支持者を持つトッド・ヘインズ監督がナタリー・ポートマン、ジュリアン・ムーアとタッグを組んで、また凄い映画を作り上げた。タイトルは、ずばり『メイ・ディセンバー』。メイ・ディセンバーとは、親子ほど年が離れたカップルという意味の慣用表現だが、事件から23年後に映画化が決まり、ナタリー・ポートマン演じる女優のエリザベスがジュリアン・ムーア演じる映画のモデルになったグレイシーとジョーを訪ね、行動を共にしていく中で見え隠れする事件の真相と現在の秘められた感情の”歪み”は観客を抜け出せない迷宮へと誘っていく。日本公開に際して用意されたサブタイトルは「ゆれる真実」。ちょっと“ヤバい映画”と言ってもいいかも知れない。