若手ピアニストのなかでも私が勝手に特に注目している、吉見友貴さん。繊細さと潔さを併せ持つ表現が魅力の演奏家です。現在アメリカに留学中の彼が冬と夏の帰国中に日本で行うリサイタルは、その変化を追うためにもぜひ聴いておきたいところ。
今回は、前半にショパン、後半にリストという、ロマン派ど真ん中のプログラム。ショパンは、バラードやスケルツォ、幻想ポロネーズなど、重要なジャンルをバランスよく取り込んだセレクトで、今改めてしっかりショパンに向き合っている最中なのかなと想像します。
リストはこの春リリースされたデビューアルバムにも収録されているロ短調ソナタ。吉見さんが大切な場面で演奏し続けているレパートリーで、自分だけの表現を追求した今のドラマを描いてくれるでしょう。
高い美意識、骨太な音楽性を聴かせてもらうのが毎回楽しみなピアニストです。