1979年公開のシリーズ第1作『エイリアン』は2122年が舞台で、86年公開の『エイリアン2』は、それから約50年後の2179年が舞台だった。最新作『エイリアン:ロムルス』は、その間の2142年が舞台となる。いわば『エイリアン 1.5』だ。
現実の世界では『エイリアン』から45年が過ぎていて、この間に映画製作は「デジタル」という革命を経験している。『エイリアン』時代の手作りのVFXは、コンピュータ上でのものに変わっているはず。たとえば、ほぼ同時期に始まった『スター・ウォーズ』シリーズは最初の3部作と、その後に作られたものとのでは、まったく空気感が違う。ところが、復習をかねて『エイリアン』と『エイリアン2』を見たが、その雰囲気と、『ロムルス』の空気感はそれほど変わらない。
物語の構造は『エイリアン』とほぼ同じ(けなしているのではなく、ほめています)。何も知らない6人の男女が巨大な宇宙ステーションでエイリアンと遭遇して、生き残りをかけて戦う話である。『エイリアン』では宇宙船内、『エイリアン2』では惑星上の巨大施設が舞台だが、『ロムルス』はその中間で、宇宙空間にある巨大な宇宙ステーションが舞台。
これまでと大きく違うのは、その6人が正規の宇宙船クルーでも海兵隊でもないこと。劣悪な環境の惑星で鉱山労働者として働いている、現状に不満で、未来も希望がない、行き場を失った若者たちが、エイリアンに遭遇してしまうのだ。
若い女性が主人公なのは、このシリーズの基本設定で、今作でも映画『パシフィック・リム: アップライジング』のヒロイン、ケイリー・スピーニーが大活躍。アンドロイドも出てくるが、これまでとは違って、最初はとても人間くさい。
シリーズの生みの親であるリドリー・スコットがプロデューサーなので、ファンを裏切ることはしていない。見る方は、エイリアンがどんなものかは知っているし、最後に助かるのが誰かは見当がつくので、ストーリー上の関心は、どの順番に殺されてしまうか。前述のようにアンドロイドは、これまでとは違ったテイストで、これが物語のキーパーソン。その点が、新しい視点。