評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!
注目の洋画系配信作品をプッシュ
村山 章
映画ライター
Mr.マクマホン:悪のオーナー
現在カルチャーに多大な影響を与えたヒールの実像とは? ロック様ことドウェイン・ジョンソン、ジョン・シナにデイヴ・バウティスタ。いずれもハリウッドで大活躍中の人気スターたちで、共通するのは、アメリカ最大のプロレス団体WWEのレスラーだったこと。いや、WWEではレスラーではなく“スーパースター”と呼ぶのだが、文字通りにスーパースターを輩出してきたWWEの支配者、いや、代表取締役兼会長だったのがビンス・マクマホン。毀誉褒貶の激しい業界の風雲児のドキュメンタリー『Mr.マクマホン:悪のオーナー』の配信がNetflixで始まった。 ビンス・マクマホンは、プロレスには強くて罵声を浴びせられる悪役が必要であり、それには「WWE会長」が一番ふさわしいと、自らを最大の悪役に設定し、ときにはリングの上で血みどろになって戦う異色のオーナーとして有名になった。しかし性加害やハラスメントの告発が相次ぎ、今年1月に業界から身を引いた。 ドキュメンタリーはビンスの生い立ちから、アメリカンプロレスの興隆、社会現象化するほどに肥大したWWEの成功、そしてドキュメンタリー制作中に起きた性的虐待告発の推移までカバー。映画界だけでなく、文化や政治にまで大きな影響を及ぼしているアメリカンプロレスの全貌を知るために、ビンス・マクマホンは決して避けて通れない大トピック。もはや一般教養であり、時代を映す(ときに映しすぎる)鏡であり、現在進行系の諸問題の象徴として、約6時間のWWE講座を受けておいて損はないですよ!
24/10/6(日)