本作を紹介する際には必ず「脚本家・笠原和夫の幻のプロットが東映で映画化」というフレーズが躍るのですが、本作は懐古趣味とは無縁の「現代の活動屋による、現代の観客に向けた時代劇」です。
社会のはみ出し者が集い、砦を守る。そこで大事になるのは、登場人物たちの魅力と敵の造形です。
山田孝之、仲野太賀をはじめ賊軍キャラは魅力的! 中でも尾上右近演じる赤丹のキャラが強烈。飛び道具的な立ち位置なのにちゃんと品があるのは、右近さんの演技に依るところが大きいのかもしれません。そして単なる敵でも、憎まれ役でもない男を阿部サダヲが見事に演じています。
なお、本作を手がけた白石和彌監督は、どれだけ苛烈な物語を描いても最後の最後には優しさや愛情がちゃんと残る映画を撮る映画界きっての優しい方だと私は思っております。本作も活劇、爆発、危険上等! ですが最後にはちゃんと優しいドラマが。もちろん、白石映画のお守りにして要石、音尾琢磨さんもいます!
新世代が日本時代劇のタスキを受け継いで走ります! 先頭集団はここです!