フランス人にもあまり人気がなかったという、ジャック・シラク元大統領夫人、ベルナデット・シラクの物語をコメディとして映画化、しかもカトリーヌ・ドヌーヴが演じるというので興味津々だったのだが、これがなんとも痛快で軽やかなフェミニズム映画になっていてノックアウトされた。
本作はシラクが大統領になり、さらに再選して二期目を務めた12年間、ベルナデットがイメチェンを図り、もっとも夫婦の間にドラマがあった時代に絞っている。亭主関白で浮気者の夫のかたわら、ベルナデットはついに夫の黒子から脱し、鮮やかな「リベンジ」を図る。庶民には伺い知れない大統領官邸内の雰囲気(男性閣僚ばかりの排他的空気)、次期大統領の座を狙いベルナデットにすり寄るニコラ・サルコジの姿などディテールも面白い。
日本にもネタはいっぱい転がっているはずだが、こういう知的な政治娯楽映画はできないものだろうか?