オッサンになったせいか、恋愛映画はあまり得意ではない。だが、この半年観た映画で一番涙を流した作品だった。この物語が恋のトキメキではなく、せっかく築いた幸せを、次のステップのために、「終わらせる」という決断が軸になっているからかもしれない。そのせつなさが響いた。
主人公は、ボストンで花屋を開業するリリー・ブルーム。魅力的な神経外科医ライルと恋に落ち、彼との将来に希望を抱く。彼は普段優しいが、感情が高ぶると、時折、暴力を振るう。リリーは少女期に母親が経験した家庭内暴力を思い出すようになり、自分の過去と現在の選択について葛藤する……。
原作は全世界で1000万部を売り上げた恋愛小説。原作者のコリーン・フーヴァーはプロデューサーも務めている。主演・プロデューサーは『ゴシップガール』シリーズのブレイク・ライブリー。監督は、ライル役で出演したジャスティン・バルドーニ。原作者、出演者、監督が強力なタッグを組み、愛と暴力の間に揺れながらも未来へ向かって生きるヒロインの姿を描ききった。題名が秀逸。“ふたり”の意味が分かった時に強く心を揺さぶられる。
