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鋭い視点でアートの見方を指南
村田 真
美術ジャーナリスト
自画像:Reflections
24/11/27(水)~24/12/27(金)
ギャラリー58
自画像は、描く人(主体)と描かれる対象(客体)が同じである点で、それゆえ直接対象を見て描けない(鏡や写真を使うしかない)点で、ほかの絵画とは異なるある種の特権的な地位にある。だから自覚的な画家たちは、モデルを雇えるような身分になってからも自画像を描くのだ。赤瀬川原平は学生時代とその半世紀後、さらにその10年後の晩年の自画像を出品。晩年のものはレントゲン写真に基づいたスケッチだ。秋山祐徳太子は1970年代、2度にわたって都知事選に立候補したときの葉書やポスターのほか、遺品から発見されたドローイングも展示。石内都は故郷である桐生の道に落ちた自分の影や、廃墟化した店の窓ガラスに映る自分を撮影している。一筋縄ではいかない「前衛」たちの自画像ばかりだ。出品作家の半数は故人なので新作は少ないが、水彩、素描、写真、印刷物、彫刻と多様な自画像が見られる。
24/12/20(金)