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政治からアイドルまで…切り口が独創的

中川 右介

作家、編集者

グランメゾン・パリ

2019年に放送されたテレビドラマ『グランメゾン東京』の劇場版で、タイトル通り、舞台はパリに移る。 最近のテレビシリーズの劇場版は、これまでのあらすじや登場人物たちの関係について何の説明もなく始まるが、これもそういう作り方なので、テレビの『グランメゾン東京』を見ていない人は、最初は戸惑うかもしれない。 私はテレビシリーズを見ていたが、その最終回からこの映画の間に何があったのかが説明されないので、よく分からなかった。と思ったら、この映画の封切りは12月30日だが、その前日の12月29日に放送されるスペシャル版があり、それを見れば、その間の事情が分かるようだ。 というわけで、一見さんお断り的だが、そう複雑な話ではないので、予習なしで、いきなり見ても、楽しめるだろう。 思えば、テレビシリーズが放送されたのは2019年10月から12月で、その直後に世界はコロナ禍に襲われた。もし放送が半年遅かったら、コロナで飲食店が困窮しているときに放送されていたわけで、なにをのんきなことをやっているんだと批判されただろう。というより制作中止になっていたかもしれない。 劇場版では、コロナ後の世界が描かれるわけだが、登場人物はコロナの影響を少なからず受けているという設定。 パリで日本人シェフがミシュランの三つ星をフレンチで取るという、不可能と思われる目標に主人公が挑むが、外の敵だけでなく、味方というか仲間にも問題があり、絶望的な状況に陥るが、最後は目標に到達するという、ヒーローものエンタメの王道の物語。 前半の木村拓哉は終始、何かに苛立ち、怒り、不機嫌で、笑顔を封印しての演技となっている。この前半はパリでロケした屋外のシーンが多く、スケールの大きさを感じさせる。 しかし、中盤での絶望的状況が一転して成功への足がかりとなり、後半になると、木村拓哉は笑顔も見せてくれるようになり、クライマックスの調理シーンへとなだれこんでいく。 テレビシリーズのレギュラーでは、木村拓哉のほか、鈴木京香、沢村一樹、及川光博、冨永愛くらいしか出てこないが、それ以外のメンバーもワンシーンだけ登場する。 とにかく、出てくる料理は、失敗作を含めて、おいしそう。パリのレストランで食べたら、いくらかかるのだろうなんてヤボなことを考えてはいけない。

25/1/4(土)

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