Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
ぴあ 総合TOP > ぴあ映画 > お引越し〈4Kデジタルリマスター版〉

お引越し〈4Kデジタルリマスター版〉

映画

ニュース

相米慎二が再評価されている。特に生前は国内に較べ海外での評価が弱かった相米作品だが、近年海外での上映や再評価が進んでいるのが嬉しい限りだ。1993年製作の『お引越し』は相米の10作目の長編であるが、昨年4Kリマスター版がヴェネチア国際映画祭クラシック部門に出品され、最優秀復元映画賞を受賞。その後もフランスでの大規模な公開を始めとし、台湾やアメリカ、スイス、オランダなどで上映が相次いだという。 私はこの作品を20代でリアルタイムで観た時、自分の幼少期の家庭での屈託をレンコのそれに投影し、ひどく心揺さぶられ、スクリーンを呆然自失と眺めていたのを覚えている。今見直すと、終盤のレンコが深い森に入っていくシーンは演出・撮影とも神懸かり的ではあるが、そこまで感情移入することはなく、この作品を最後に芸能活動を辞めてしまった桜田淳子の堂々たる女優ぶりや、情けないお父さん役が似合う若かりし頃の中井貴一にむしろ目が行ったりする。 一つの家庭の終焉、そして再生の物語であり、どの映画もどこかしら通過儀礼的なところがある相米作品は年の瀬や新年に観るのにぴったりでもある。同じく4Kリマスター版の『夏の庭 The Friends』も同時公開されるので、ぜひ相米作品で清新な年末年始を!