タイトルの「大きな玉ねぎ」は武道館のこと。
爆風スランプの同題の歌が原案というかモチーフとなっていて、これをもとに中村航が作ったストーリーの映画化。2つの時代の2組のカップルの不器用な恋愛が描かれる。
この2組のカップル、つまり4人の男女の関係が、ストーリーが進むにつれてわかっていき、リンクしたときに、感動が待っているという仕掛けだ。
30年前のカップルは、雑誌のペンフレンド募集で知り合い文通をしている。住んでいるところが離れているので会ったことはない。手紙だけでのやりとりで声も、顔も分からない。
これはスマホとSNSのある現代ではありえない設定。そこで考え出されたのが、夜はバー、休日の昼間はスイーツが売り物のカフェになるという店があり、それぞれの従業員が業務連絡を記すためのノートが、いつしか「交換ノート」になり、相手を好きになるという設定。そこに誤解がからまって、うまくいきかけた恋は破綻するのだが……。
恋愛映画の王道的なハラハラドキドキと、しんみりとした部分とがうまくかみあっていく。
2組とも、武道館のコンサートで会う約束をしているのだが、はたして出会えるのか。
爆風スランプの歌を知っている人は結末の予想がつくかもしれないが、その後、さらにひとひねりあるので、「そうなったのか!」と楽しめる展開。