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水先案内人のおすすめ

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夏目 深雪

著述・編集業

Flow

第97回アカデミー賞で長編アニメーション賞を受賞した、ラトビア出身のギンツ・ジルバロディス監督の作品。大きな目の可愛らしい黒猫のビジュアルから、ジブリやディズニーの動物アニメーションを想像すると勝手が違う。まったく擬人化されていないわけではないのだが、現実と違うのは動物たちがボートを操縦するところくらい(それも無理がなく自然でカワイイ)。あとは猫は猫らしく、カピバラはカピバラらしく、それぞれの特性で危機をくぐり抜け、あくまで動物として群れたり、喧嘩したりする。彼らは人間の台詞を喋ったりしないし、名前もついていない。 突然の大洪水。猫は必死で高いところに登るが、水が満ちてきてあわやというところでボートに飛び乗る。ボートには先客がいて、猫は彼らと旅をすることになる。猫の視点で進んでいく物語が、説明不足であるところがいい。自分も猫になって一緒に水を恐れたり、敵から必死で逃げたりするしかない。RPGや、VRなどに近い体験かもしれない。物語以前に留まったせいで寓話的なストーリー、そして動物たちはもちろん自然を描いたアニメーションの造形も素晴らしい。オンラインで観てしまったので劇場で観なかったことを後悔した。そして、この次に何が起こるかまったく分からない体験は、初見でしか味わえないだろう。このリアルな寓話をぜひ劇場で!

25/3/14(金)

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