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インディペンデントで見逃せない作品を
水上 賢治
映画ライター
カップルズ〈4Kレストア版〉
25/4/18(金)
TOHOシネマズ シャンテ
すでに本作が発表されてから約30年近くが、監督のエドワード・ヤンが亡くなってから約18年の月日が流れようとしている。1990年代半ばの多国籍な人々が往来する台北の時代の空気が色濃く反映された作品でもある。 でも、30年前の物語のような古さもなければ、特定の時代や場所の内容にも思えない。むしろ、今の時代、今の社会、今を生きる人々を映し出しているのではないだろうか。そんな錯覚に陥る。 そう現代性を帯びたように感じさせるのはどこなのか? それは社会を、人間を鋭く見据えたエドワード・ヤンの予見および未来への警鐘からくるものかもしれない。あるいは、時代が変わったとしても、人間の中にある欲望や憎悪、愛といったものは変わらないということを物語っているだけかもしれない。 いずれにしても、今に通じる物語になっていることは間違いない。そして、ここで描かれるひとつの愛は、今を生きる人々に大切な何かを気づかせてくれる。30年前の旧作ではあるけれども、その先入観は抜きに見てほしい。
25/4/19(土)