アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場
『アンノウン・ソルジャー』 (C)Elokuvaosakeyhtioe Suomi 2017
第二次世界大戦下の対ソ連の戦線を舞台に、フィンランドのある連隊の顛末が描かれる。
ユーモラスで活気に満ちた前半、重々しく湿った空気に覆われる後半。戦況の変化に合わせて映像の質感も変化していく。どうあがいても敗戦濃厚なのに、撤退を許されない。そうした中で必死に戦い、生き延びようとする名もなき兵たち。鬱蒼とした森の中、断末魔と銃声だけが響く。
ひたすら薄暗い、無間地獄の如き戦場の映像。その対局にいるのが女たち。明るく暖かく映し出される。その美しく艶やかな姿は、「早く彼女たちの元へ戻るんだ!」と声かけたくなる一方、それの許されない悲劇がより浮き彫りに。
リアルな臨場感あふれる、秀逸な戦争映画だ。